天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「………相変わらず、姫さま方はのんびりしてらっしゃいますわね」




「そうよねぇ、ほんとに。


なんだか時間の流れが違われるという感じがするのよね。


ふふふ、アカネ様とは大違いね」





ハツノとナツノの姉妹を見送った女官たちは、ほのぼのとした様子で井戸端会議を始めた。





「あ、そういえばね。

小耳に挟んだんだけど。


アカネ様ってね、お小さい頃に一般の方に引き取られなさって、ずいぶん特殊な環境でお育ちになったらしいわよ」




「まぁ、そうだったの。一般の方に?


だからあんなにお元気で活発でいらっしゃるのねぇ」




「そうそう。

なんだか他の天貴人の姫さま達とは全く似ていらっしゃらないもの」




「ええ、普通に考えたらちょっと品が無いようにも思えるお話しぶりだったりするけど。


でも不思議と、アカネ様だったら全然気にならないのよね」




「やっぱり、お心根が真っ直ぐで朗らかでいらっしゃるからね。


なんだか見ているこちらの方も明るい心持ちになるのが驚きよね」




「それに、お心だけでなくて、お姿もとっても素敵よね。


あんなに艶のある御髪は見たこともなかったわ」




「そうそう、お肌も惚れ惚れしちゃうほど肌理が細かくて………」




「それなのに全く鼻にかけていらっしゃらないのが、また魅力的だわ」