一方、少し離れた所では、二人の衛兵がキムロに怒鳴られている。




「お前たち、一体なにをしていたんだ!!


揃いも揃って姫さまが部屋をお出になるのを見逃したとは………。


怒らぬから、正直に言ってみろ!!」





情けなく顔を歪めた衛兵の一人が、ぼそぼそと口を開く。





「………あの。


………昨晩、姫さまから、酒を賜ったのです………。


地国の山の綺麗な水で作られた、非常に貴重で旨い酒だと………。



それで、姫さまと色々お話をしていたら楽しくて楽しくて。


姫さまはお酒に弱いそうで、一滴もお飲みにならなかったのですが、気が付いたら私共はかなり大量に呑まされてしまっていて………。



泥酔してしまいまして、気が付いたら二人とも寝込んでしまっていました………」





キムロはぴくぴくと頬を引きつらせて聞いていた。




「それで、朝まで目が覚めなかったというのか………」




「………はい。

申し訳もございません………」





右の衛兵はうな垂れていたが、左の男は「でも本当に楽しかったよな」と間の抜けたことを囁き、聞き咎めたキムロにじろりと睨まれた。




「とにかく、すぐに捜し出せ!


こんなことがムラノ様やタツノ様のお耳に入ったら、どれだけのお怒りを受けることか………!


急げ、一刻も早くお見つけするのだ!!」