天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether








ーーーアカネ。







その名前がふっとタツノの頭に浮かんだ。





一日の始まり、日の光でだんだんと白む夜明けの空に浮かぶ雲を仄かに染める、紫がかった茜色(アカネ)。




首元を彩る鮮やかな首飾りの赤(アカ)。



人々の生活を照らす灯(アカシ)。





そう言えば「あかねさす」という言葉は、「日」や「光」、「朝日」、そして「照る」、「昼」といった言葉と縁の深いものでもある。






考えれば考えるほど、アカネという名はチキュにぴったりだと思われた。







「ーーーお前は、これから、アカネだ」






不意にそう声をかけられ、チキュは振り向いた。




果物で頬をぱんぱんに膨らませ、こくこくと頷く。





(…………これで、本当に大丈夫か?)




不安になりながら、タツノは溜息を吐いた。