天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「…………あのな。

目立ったら終わりなんだ、お前は。


とにかく、特別な存在であることを知られないようにしないと………」




「特別な存在? オレが?」




「地国で育ったんだ、天の一族から見れば特殊だろ?


だから名前を変えるんだ」





それでもチキュは納得できないように唇を尖らせる。





「オレ、チキュって名前気に入ってるのに………」




「さっき自分で言ってたじゃないか。


名前なんて重要じゃないって」





タツノにそう言われ、チキュは一瞬目を瞠った。




しかしすぐに表情を戻し、小さく「そうだよな………」と呟く。





「とにかく、お前のことを、宴で皆に紹介するから。


その時にすんなりと天貴人に馴染めるような名じゃないとな」





チキュは「ふぅん」と唸った。




「ま、何でもいいよ、名前なんて。


どうせ仮の名前だしな」




結局は屈託なく言うので、「じゃ、俺が決めるぞ」とタツノが言う。




「よろしく〜」




チキュはぷらぷらと手を振った。