天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

そう言った瞬間、チキュの脳裏に、その言葉を穏やかに口にした人物が浮かんだ。








(ーーーセカイ………)







無駄だと分かっていながら、心の中で、名を呼んでしまう。









ーーーなぁに?







名前を呼ぶとそう訊き返してくる、少し高めの甘い声が、優しく耳に届いたようや気がした。









突然俯いて黙り込んでしまったチキュを、タツノが見つめている。




先程までの元気はどこに行ってしまったのか。




短い黒髪の先から覗く細い首筋が、白く目を突いた。