天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

チキュは、目から鱗とばかりに間抜けな表情になった。





「………あっ」




顎が外れそうなほど口を開き、素っ頓狂な声を出す。





「そうだっ!!


そう言えば、あんたの名前、何てゆーんだ!?」





予想と違わぬ答えに、タツノはやっぱりな、と息を吐き出す。





「………お前なぁ、そんなんでよく俺にあんなこと言えたな。


信じられねぇ奴だとか失礼だとか何とか………」





チキュは「うっ」と痛そうな顔をした。




「お前こそ、十日も俺に世話されといて、名前を知らないってことにすら気づかないって、どうなんだよ。


呆れて物も言えんわ…………」





盛大な呆れ顔で繰り出されたごもっともな突っ込みに、チキュは「えへへ」と頭を掻いて誤魔化した。




「まっ、名前が何かなんて、大して重要じゃないしな!


確かにそこにいる、ってことが大事なんだよ!」