天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

考え込んで何も反応しないタツノに苛々して、チキュが眉を顰め歯を剥き出して「おいっ」とがなる。




本当に煩い女だと思いながら、タツノは言う。




「そういえば、お前の名前を決めなきゃならないな………」




チキュは「は???」と目を丸くした。



よくこんなにころころと表情を変えられるな、とタツノは半ば感心する。




しかしそれも顔には出さずにタツノは言った。




「だから、お前の名前。


どんなのがいい?」





意味不明な発言を繰り返すタツノに、チキュは思い切り顔を歪めた。





「あんた、まさかオレの名前しらなかったのか!?



信じられねぇ奴だな!


失礼にも程があるってもんだよ!!


こんなに何日も一緒にいて………。



てゆーか、攫ってきといて名前も知らないってどうなんだよ!!


オレはチキュって言うんだ、チ・キュ!!


覚えろよ!!」





音量を最大に上げて、チキュはまくし立てた。