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「えっ!?
なんだって!? ウタゲ!?」
チキュの品のない大声がソガノの居住区に響き渡る。
ーーーチキュが天国に連れて来られてから、早くも十日近くが経っていた。
初め、チキュは客間に寝かされていた。
しばらくは大人しく静養していたのだが、体調が回復すると、チキュ付きの女官であるサヤの目を盗んでふらふらと出歩き、ソガノの区域内を放浪し始めた。
自分が知らぬ間にやって来た【天国】とはどんな所なのか、知りたかったのである。
と言うのは口実で、勿論、何とかして逃れようとしていたのは言うまでもない。
ソガノ中を彷徨って逃げ道を探していたのだが、いつも兵に見つかって捕まってしまった。
一度だけ運よく、廊下の果てにあった外が見える窓に辿り着いたのだが。
覗いて見て、ここは遥か高い空の上なのだと分かって、簡単には逃れられないことを思い知った。
仕方がないので、逃げるのは一旦やめて、自分を狙う者が複数いるらしい天国について色々調べておこうと、探検に方向転換した。



