天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ミカゲの身体から漂う甘美な香りが、アスカの鼻腔を擽る。




アスカは深く呼吸をした。






「アスカ………?」




困り果てたように言うミカゲ吐いた息が、アスカの鎖骨の辺りをしっとりと湿らせながら揺れる。





「ごめん。………ちょっとだけ………」





アスカの掠れた声が、ミカゲの耳に降ってきた。




その声音は、いつものアスカのものよりもずっと低く響いた。




ミカゲはなぜか、アスカの背に当てていた手をゆっくりと下ろしてしまった。






(………本当に、どうしちゃったの?


アスカ………?



………私、どうすればいいのか、分からない…………)





ミカゲは全身の力を抜いて、顔をぼんやりと仰向け、アスカが離してくれるのをただただ待った。