天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

微かに身動ぎをしたミカゲの、しなやかで長い髪が、さらりと音を立てる。




その白銀の髪の一房が、アスカの頬をふいと撫でた。





アスカは微かに息を呑み、さらにぎゅっと目をつぶった。






「………ミカゲ、ごめん」




呼吸を整えて、呟くように言う。




「え?」と訊き返すミカゲの身体を、アスカは力いっぱいに抱き締めた。








今度はミカゲが驚く番だった。




ミカゲは今まで何度も、アスカを抱き締めてきた。




でも、逆に抱き締められたのは、初めてだったのだ。





「ちょっ………と、アスカ?


どうしたの?」





動揺を隠せずに、ミカゲの声は震えた。





その声を頬の下に聞きながら、アスカはさらに抱き締める力を強める。





ミカゲの身体は、とてもとても細かった。



アスカはまだ成長の途中で、それほど身体も大きくはなかったが、そのアスカの身体にミカゲはすっぽりと包み込まれた。