天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「…………私はね。


アスカにはね、本当に、幸せになってほしいの」




アスカは「え?」と首を捻ってミカゲの方に視線を向ける。



しかし顔が近すぎて、その表情を窺い知ることはできなかった。




ミカゲは続けて囁く。




「私たち、こんな特殊な環境に生まれてしまったけど………。


あなたの奔放さと無邪気さを失ってほしくないわ。


そのためにできることは、何でもしてあげたい」




静かに心に染み入るような声に、アスカはゆっくりと瞼を下ろした。




「あなたの素直で伸びやかな心を、守ってあげたい………」





アスカは目を閉じたまま、思う。



(…………ちがうんだ。


ちがうんだよ、ミカゲ………。



俺は、守って欲しいんじゃないんだ。むしろ、…………)





ーーーでも、胸を突き刺すようなこの想いを、口に出すわけにはいかない。