天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ほらほら、と促すミカゲを横目に見ながら、アスカは何も言えない。




クオンとのやりとりを知られようものなら、ミカゲとの関係までぎこちなくなってしまうだろう。





答えないアスカの顔を、ミカゲはじっと見ていた。



少し突き出された薄い下唇が、なんだかいじけているように見える。




くすりと笑って、ミカゲは両手を上げた。


そして、ふわりとアスカを抱きしめた。





アスカは驚いて固まった。



茶色がかったふわふわの癖毛を、柔らかい手つきで撫でる。





「可愛いアスカ」




ミカゲのしっとりと穏やかな声が、アスカの耳朶を掠めた。




アスカは身動ぎもできずに目を丸くして硬直している。