アスカがそれ以上なにも言おうとしないので、クオンは静かに口を切った。





「………そうか。そうだったのか。


知らなかった………気づかなかった。



すまなかった、アスカ………」






そう言われ、アスカは眉を吊り上げる。





「なんで謝るんだよ! クオン!


謝られたって仕方ないよ、だって………どうせ結婚しちゃうんだろ?」





アスカの茶色がかった瞳は、うっすらと滲んでいた。



それでも、瞳を滲ませているものが零れ落ちないように、上を向いて耐えた。




クオンは何も答えない。




アスカは顔を正面へ向けて言う。





「………もういいよ。


今のことは、忘れて。


………とにかく、ミカゲを宴に出席させるのは、やめてよね」





クオンの視線を振り切るように、アスカは足早に立ち去った。