ひとしきり考え込んだ後、クオンが再び書類に目を通していると、執務の間の外からばたばたと足音が聞こえてきた。



ちらりと扉に目を向けると、ばたんと大きな音を立てて開いた。




顔を出したのは、予想通り、弟皇子のアスカである。




「クオン!! 聞いたよ!!


ちょっと、どういうこと!?」



静謐な執務の間でも、遠慮なく大声で怒鳴ってくる。



クオンは手に取っていた巻物を静かに文机に下ろした。



「ーーー宴のことか?」



揺るぎのない視線を向けられ、アスカは睨みで返した。



「〜〜〜そうだよっ。


女官たちの噂で聞いたけど、ミカゲを参加させるんだって?


クオン、何考えてんだよっ。

無理に決まってるじゃないか、ついこの間まで寝込んでたのに………」



アスカは言いながらだんだんと涙目になってきていた。




クオンは立ち上がり、ゆっくりとアスカに歩み寄った。


近くの肘掛け椅子にアスカを座らせ、自分も向かいに腰掛ける。