すると、オナガは後方に控えていた兵の一人に目配せをした。





その兵士は素早く立ち上がり、数人を引き連れて部屋を出て行く。







しばらくすると、兵士たちはあるものを抱えて戻ってきた。





ごとりと、それが床に放り落とされる。





一人の青年だった。




上半身の衣服は剥ぎ取られており、手当もされていない深い傷がぽっかりと開いているのが見える。



頭髪のない頭も、燭台の灯りに皓々と晒されている。




「ーーーミチハ様。


この男………『エーテル』の育て親です」




ミチハは顎鬚に触れながら眉間に皺を刻んだ。



「なぜ、そんな男をわざわざ天宮まで連れてきた?


ただの地の一族であろう」




オナガが口角を上げて、堪えきれないように俗な笑みを零す。



「………この者は、我々が『エーテル』を攫おうとした際、武器を取って反撃してきました」




ミチハは「ふむ」と眉を上げた。


オナガはさらに続ける。



「しかもこの男、戦闘能力は非常に高等なものでした」