控えていたサヤが顔を出す。




「何か御用ですか?」



「こいつが、水が欲しいんだと。

一刻も早く持って来てくれ」



「あら、姫さまが?

お元気になられたんですね、よかった。

かしこまりました、急いで持って参りますわね」




急ぎ足で立ち去るサヤを見ながら、チキュはタツノの袖をくいくいと引く。




「お前なぁ、ちょっと感じ悪いぞ。


人に物を頼む態度がなってない!」




胸を張って言ってきた。




「手を叩いて呼ぶなんて、失礼だろ。

しかもわざわざ取りに行ってもらうのに、一刻も早くだなんて急がせて!」




自分の我儘に端を発しているというのに、なんとも偉そうな態度だ。



タツノは顔を顰める。




「は? 当たり前だろ。


あいつは俺の家の女官、召使いなんだから」