「どうだ? 美味いだろ。


天国で最高級の霞だぞ」




「…………なぁんか、食べた気も飲んだ気もしねぇなぁ………」





自慢気に語りかけてくるタツノに、チキュは空になった小箱を突き返した。




「やっぱり水ほしーよ!


こんなのじゃ全っ然!

渇きが癒されないっ!!」



またもや我儘を言い出したチキュをタツノは呆れたように見た。




(………なんなんだ、こいつ。

本当に我儘全開だな………)




そうは思うのだが。


水が欲しいと言われれば、その通りにしてやろうと考えてしまう。




(ふぅ。仕方ない。


………惚れた弱みってやつか………)



タツノは情けなく眉を下げた。




「ーーー分かったよ。

水があればいいんだな?


今持って来させるよ」



そう言ってぱんぱんと手を鳴らした。