天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「………あのなぁ」



タツノは椅子に腰かけながらチキュに説明をはじめた。



「天国では、水ってのはものすごく貴重なんだよ。


ここには自然の水はない。

地国の商人から買い取るしかないからな。


だから俺たち天の一族は、霞を食って生きているんだ。


まぁ、いいから、食べてみな」




チキュは、「え? 天国?」と不思議そうな声を上げた。




しかし喉の渇きに負けて、とりあえず霞を食べてみることにした。




「どうやって食べんの? これ………」


チキュに問われ、まずはタツノがすっと口に含んでみせた。



美味しそうに喉仏を上下させて飲み込む。




見よう見真似で、チキュも小箱を傾けて霞を口の中に流し込んだ。




「んん………む?」



口内にじわりと広がる不思議な感触。



ほんわりと湿り気を感じたが、すぐに舌の上には何もなくなった。