天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

セカイの声は悲痛だった。



それでも、潤んだ瞳から涙が零れ落ちることはなかった。






(セカイが心置きなく泣ける場所は、ここにはないのね。


あたしの前ではないのね)






ヘレンはそう思った。


自分がこれ以上ここにいても、セカイにとっては何の救いにもならない。





(セカイは、家族を、失ったんだわ。


その温もりを、何より大事にしていたものを、奪われてしまったんだわ。


なんて、なんて悲しいーーー)






ランプの火を見つめ続けるセカイの横顔に、ヘレンは計り知れないほどの痛みと絶望、そして深淵のような孤独を感じとった。






(…………セカイ。


あなたはあたしを、救ってくれた。


あたしは、幸福を知ることができた。



ーーーエレメデの海風が、あなたにも、いつかきっと、幸福を運んできてくれますように………)





ヘレンは苦しいほどに切望しながら、静かに部屋を出た。