天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「家族、って………」



「え?」



セカイの声が小さくて聞き取れず、ヘレンは訊き返した。



紫に透き通った瞳は、真っ直ぐにランプの中で揺れる炎に注がれている。




「家族って、火みたいなものだね」



しっとりとした声音で呟かれた言葉の真意がわからず、ヘレンは首を捻る。



「………どういうこと?」



セカイは微動だにせず続けた。





「………僕たちにとって、火は、当たり前のようにそばにあるものだよね。


火打石と燃えるものさえあれば、いつだって手に入る」





「………ええ」





ヘレンは、よく分からないながらもこくりと頷いた。





「火は、あるのが当たり前で、僕たちはいつも当然のように使って、恩恵を受けてる」






セカイの表情が、少し動いたような気がしたが、緩く波打つ髪に隠れて、よく見えなかった。