天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

しかも、港町には人攫いがいるという噂が以前から囁かれていて、小さな子どもは決して一人にしてはいけないと言われていた。




全速力で走り続けていたヘレンの鼓動はどんどんと速くなり、息が苦しくなってきた。




足を止めて、息を整えた。




近くを通った女性に、声をかける。






「………すみません。


この辺りで、小さな女の子を見かけませんでした?」





「え?」





「三つ編みの、5歳くらいの……。


あの、迷子なんです………」





「あら、大変じゃないの。


申し訳ないけど、見てないわ」






女性は気の毒そうな表情で答えた。






「そうですか。


すみません、ありがとうございました」






ヘレンはぺこりと頭を下げて、また走り出した。