天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「この船着き場から少し離れた所に、町があるの。


そこに行けば、船で運ばれて来た珍しい食べ物とか民芸品とかが売られてて、色んな人たちが買いに来るのよ。

お店がたくさんあって、そういうお客さん向けの宿屋もあるし、人が多い賑わった町なの。


だから、人混みに紛れようと思ったら、町に行くのが一番いいわ」





ヘレンの言葉にこくりと頷き、指で指し示された方向にセカイは歩き出した。






町は、石畳が敷かれた通りの両側に、青果店や鮮魚店、衣料品店や雑貨屋など、数多くの店が立ち並んでいた。




どの店も外から見えるように商品を並べており、買い物に来た人々は歩きながら物色している。





夕暮れ時の薄暗い町。



路傍の街灯の火がゆらゆらと風に揺れて、どこか幻想的な雰囲気だった。





宿屋が集まる区画まで、ヘレンは余所見もせずに歩いていく。



セカイは時折り左右を見ながら、その後ろ姿に付いて行った。