天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「僕も、分からないんだ。


物心ついた頃から、この傷痕はあったから……。


よく分からないけど、赤ちゃんの頃に怪我でもしたんじゃないかな?」





セカイは薄い唇を少し尖らせながら、そう呟いた。



ヘレンもその傷痕を見ながら頷く。




「ふぅん。そうなの。

それにしても、かなり大変な怪我よね。

なんか、セカイって、怪我の絶えない人生なのかしら?」




「ん〜、そんなこともないけど。

大きなのは、この傷痕と、この前の怪我だけだよ」




セカイは関心もなさそうに傷痕を袖に隠した。




「港には、いつ頃つく?」



セカイは首を傾げ、ヘレンに訊ねる。



「そうねぇ。

あたしの村から港町まではだいたい丸一日かからないくらい。

だから、今日の夕方には着くと思うけど」




「そう。じゃ、もう行こうか。

暗くなる前に着いた方がいいよね」





セカイはそう言って立ち上がり、焚き火の後始末を始めた。