天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

それからしばらく、二人は肩を並べて静かに食事をしていた。




「あ、そういえば」




ヘレンが不意に思い出して、声を上げた。



「いつか、セカイに訊こうと思ってたんだけど」



「なぁに?」



口許を拭っていたセカイがヘレンに目を向ける。





「傷の手当てをしてる時に気付いたんだけど。


セカイの二の腕に、大きな傷痕があるわよね?」





そう言われ、セカイは「あぁ……」と自分の右腕に視線を落とす。



薄手の長い袖に隠れていたので、軽く捲り上げた。




「これのこと?」




そこには、肩から肘にかけて走る、古く大きな傷の痕があった。





「そう。

随分大きな怪我みたいだけど、一体どうしたの?」





ヘレンが首を傾げながら無邪気に訊ねた。



セカイは微かに眉を顰めたが、「これはね」と話し始める。