天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

セカイが不安になるほど長い時間が経ってから、ヘレンは海面に顔を出した。





「ヘレン、こんなに長く、息を止められるの?


もしかして溺れちゃったんじゃないかって、僕、心配になっちゃったよ」





そうセカイが声をかけると、ヘレンは可笑しそうに声を出して笑った。





「ふふ、溺れる?

そんなわけないわ!


だってあたし、小さい頃から毎日、毎日潜ってるのよ。


こんな浅い穏やかな海で、溺れるわけないじゃない」





そう言って、ヘレンは両手に余るほど持った貝をセカイに見せる。




セカイは「ヘレンかっこいー」と手を叩いた。




ヘレンは下からセカイに向かってひょいひょいと貝を投げ、身軽に崖を登ってきた。





セカイはにこにこ笑いながらそれを迎えた。