天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

二人は今、交易路リューロウを南下しつつ、カルフィの港に向かっていた。



この辺りのリューロウは、海岸に沿うような形で通っている。



周囲には、徒歩の旅人や買い物に行く家族連れ、大きな馬車に荷をたくさん積んだ商人など、様々な人がいた。


港近くのリューロウの両側には、そういった人々を客として飲み物や軽食を出す休憩所が立ち並んでいる。



しかし、人目を忍ぶ二人は、休憩所には入らなかった。



リューロウを外れ、崖を下って、人けのない海岸へ出る。


狭い砂浜に、二人並んで座り込んだ。




「ああ、足が棒みたいだわ!」


ヘレンはそう言って、歩き疲れた脚の脹脛をさする。



セカイは長旅には慣れているので、半日歩いたくらいではどうと言うこともないようだ。



心地よさそうに海風に吹かれながら、真夏の陽光を白く反射する眩しい海面を、目を細めて眺めている。