その視界の端に、路傍の草花が入り込んだ。



小さな夏の花に、セカイは目を奪われる。



小指の先ほどの小さな花弁は、白くつぶらだった。



丈の高い草に覆われるようになりながら、それでも一途に太陽の光に向かって、精いっぱいに伸びをするように咲いている。




セカイの視線を追ったヘレンが、「ああ、ジュリの花ね」と言う。




「ジュリ?」



セカイが首を傾げた。



初夏の真昼の強い日差しに白く映える相貌を見つめながら、ヘレンは答える。





「ジュリの花、見たことない?


夏になると、この辺りにはよく生えるのよ。


真夏にはあたしの家の裏山も、この花で真っ白な絨毯みたいになるの」




「ふぅん、そうなんだ………。

僕、初めて見た。


白くって小さくって、可愛い花だね」





そう呟いたセカイは、微かに口許を微笑ませながらジュリの花を見つめていた。