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「セカイ。
そろそろ、お腹すかない?」
ヘレンがそう言って振り返る。
セカイはヘレンの少し後ろを、まだ完治してはいない怪我を庇うように、ゆったりとした足取りで歩いていた。
頭上を仰ぎ、真っ青な大空に浮かぶ真っ白な雲の中をのんびりと横切っていく海鳥を目で追っている。
(南国の夏の空は、青も白も濃くて、くっきりしてるなぁ………)
そんなことをのどかに考えていたので、ヘレンの声が耳に届かなかったようだ。
「ねぇ、セカイ!」
ヘレンが再び呼ぶと、セカイはふいと視線を下げ、やっとヘレンを見る。
「なぁに? ヘレン」
眠そうにも見える重た気な瞼をゆっくりと瞬かせながら、セカイは言った。
ヘレンは赤毛を揺らしながら首を傾げ、もう一度、訊ねる。
「お腹、そろそろ空いてるんじゃない?」
そう問いかけられ、セカイはうーん、と考える。



