「………ええ、そうよ、セカイ。


あなたは、ここにいては、危ないの」





セカイがゆっくりと首を傾げる。



さらりと揺れ動いた髪が、細い月光の筋に当たって、金色にきらきらと輝いた。




ヘレンはセカイへと近づく。




真近に顔を寄せて、囁くように言う。





「………あたしと一緒に、行きましょう、セカイ。


カルフィの、港町へ」





セカイはまだ首を傾げたまま黙っている。





「ねぇ、セカイ。


この村は、危険よ。

また、いつ誰に襲われるか、分からない。


荷物は全部まとめてきたわ。


早く行きましょう。



………港町へーーー」






セカイは、ぼんやりとしたまま、こくりと頷いた。







ーーー月明かりの照らし出す砂浜を、二人で歩く。




波の音を、全身で聴きながら………。