天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

そう呟いた自身の声で、チキュは目を開けた。




くっきりとした黒い瞳に、純白の天蓋が映る。





チキュはおもむろに手を上げて、頬に触れるものをぎゅっと掴んだ。






そして、じいっと見る。




(ーーーちがう………)




期待を裏切られたことに腹が立ち、思いっきりそれを引っ張った。







「ーーーったたた!!」




耳慣れない低い声に、チキュは眉を顰める。



首を動かして見ると、寝台に身を屈めるような姿勢の、長い黒髪の男が視界に飛び込んできた。




痛そうに顔を歪め、チキュの方を見ている。



「いきなり何するんだ、お前は!!」



怒鳴られ、面喰らったチキュは目を丸くした。




しかしすぐに気を取り直し、反論する。




「~~~~~だって!!



なんなんだよっ、この硬くて太くて真っ直ぐな、しかも黒い髪は!!


気に入らねーなぁ!!」