天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

気もそぞろといった様子で、荷物を抱え直して歩き出そうとするヘレンを、ハンナは目を細めて眺める。





「―――のぅ、ヘレン。


私の、言った通りに、なってしまったね」





ヘレンは動きを止め、首を傾げた。





「………何の、話ですか?」




そう言ってから、ヘレンは思い出した。





(―――あぁ、そうだったわ。


ハンナ婆さんが、言ったんだった。


災いが起こる前に、セカイを村から出せ、って………)





確かに、災いは起こった。




セカイが、バージに襲われた。


生きたまま、目を抉られそうになったのだ。





「………そうですね。


本当に、災いが起りました。

ハンナ婆さんの言った通りに。


………あぁ、早く、セカイを逃がしておけばよかった。



そしたら、セカイはあんな恐い目に遭わずに済んだのに―――」