天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「………そういうわけじゃないけど」




ヘレンは俯いて呟く。




「………でも、セカイは、特別なの。


あたし、セカイと出会ってから、自分にちょっとだけ、自信が持てるようになった。


セカイといれば、もっともっと、変われる気がするの。



そのセカイが、今、危ない状況なの。


だから、あたしは、セカイを守りたい」






ヘレンには最早、迷いも躊躇いもなかった。



揺るぎない瞳で、兄を真っ直ぐに見つめる。





「………あたし、行くね。


お父さんとお母さんに、よろしく」





それだけ言い残して、大きな荷物を抱えて、ヘレンは静かに立ち去った。




残されたパトロとジュリは、呆然とした表情で、その後姿を見送った。