天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「なぁ、ヘレン!

あの子、怪我はもう治ったんだろ?


子どもじゃあるまいし、港町までの行き方を教えて、一人で行かせればいいじゃないか。


なんでお前が付き添う必要があるんだ?


それより、ジュリとの約束を守ってやれよ………」





ヘレンは振り向かずに、小さく言う。





「何を言っても無駄よ………兄さん。


あたし、決めたの。


こんな狭い村ーーー意地悪な人ばっかりの嫌な村は出て、セカイと行って、変わるの、あたしは」





パトロは苦し気に眉根を寄せた。





「………ヘレン………。


お前、どうしちゃったんだ?


本当に、妹よりーーー家族より、他人の方が、大事だと思ってるのか?」