天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「……ごめんね、ごめんねジュリ」




そう言って頭を撫でつつも、ヘレンは迷いなく立ち上がった。



黙って見つめているパトロの方に目を向け、すぐに逸らす。





「……とにかく、あたし、行くわ。

セカイを安全な所に移してあげなきゃ。


後のこと、よろしくね、兄さん」





決然としたヘレンの声音に、揺るぎない意志を感じて、パトロは顔を歪めた。





「………ヘレン。

あの子を送り届けたら、ちゃんと帰ってくるんだよな?


なぁ、ヘレン、家に、ちゃんと帰って来るんだよな?」





パトロの必死な声を背中に受けながら、何も答えずにヘレンは必要なものをまとめ始めた。