天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

月明かりの中、ひと気のない道を走って、家に戻った。





ヘレンが戸を開けた音を聞きつけ、末の妹のジュリが駆けつけてくる。





「おねーちゃん! おかえり!


おそかったねぇ」





まだ舌足らずな口調でジュリが話しかけてくる。




しかし今のヘレンはそれどころではない。





「………ごめん、ジュリ。


お姉ちゃん今、急いでて時間がないの」





「えぇ〜!! なんでなんで?」





ジェリが脚に纏わりついてくるので、思うように歩けない。




ヘレンは逸る気を抑えながら兄の部屋へと向かった。






「パトロ兄さん!」





窓辺で本を読んでいたパトロが振り向いた。





「おかえり、ヘレン。どうした?」





優し気に目許を綻ばせながら、ヘレンに笑いかけた。