天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

しばらくすると、セカイの薄い唇が、微かに震えるのが分かった。



何か言おうとしているのだと思い、ヘレンは耳を澄ます。




その唇から発せられた言葉は。






「………僕の、目ーーー」





「………え?」






呟いたセカイの声は、小さすぎて聞き取れないほどだった。





「………なに?


なんて言ったの? セカイ。


め………目、って、言った?」





セカイは顔を上げ、ヘレンを見た。




紫の瞳が、月明かりに煌めいている。






「………うん、目。


僕の、目」







ヘレンは、吸い込まれるようにセカイの目を覗き込んだ。




セカイがさらに続ける。





「あの男は、たぶん、僕の目を、狙ってたんだと、思うーーー」





確かめるように切れ切れに、セカイはそう呟いた。





「………あなたの、目、を?」





ヘレンは何も考えられず、ただ繰り返した。