天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

その時、床に着いたセカイの手に、何か硬いものが触れた。




「あ」



思わず呟いてしまう。




それは、この小屋で初めて目が覚めたときに、セカイの右手が握り締めていた剣だった。



今は、ヘレンが巻いてくれた麻布に包まれている。




セカイは人影から目を逸らさないまま、静かにそれを後ろ手に取った。




人影はまた短刀を振りかざす。



その刃はやはり真っ直ぐにセカイの顔を狙って振り下ろされた。




(……なんで、顔なんだろう?)



首を振って攻撃を避けながら、セカイは思う。



急所であるはずの、首や心臓の位置を襲ってはいない。



なぜか、先ほどから迷いなくセカイの顔ーーー特に目鼻の辺りを狙っているようなのだ。