天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

誰も返事をしないので、セカイは再び口を開いた。





「…………ねぇ。


ヘレンって、すごく親切で、気が利いて、優しいね。


こんな素敵な人が友達で、皆は幸せだね」





はっと我に返った女たちは、「え? ヘレンが?」と首を捻る。




ヘレンはいたたまれないように顔を俯けた。





マリはセカイに視線を戻し、応える。






「えーと、セカイ、だったっけ?


この子のことそんな風に言う人、初めてだわ。


ヘレンったら、いっつも俯いて陰気に黙り込んでて、何を聞いてもおどおどしてて、こっちまで暗い気分になっちゃうのよね。


だから皆、ヘレンのこと嫌がってるのよ」






マリの言葉を聞いて、セカイは心底不思議そうに眉を上げた。





「あんまり喋らなかったら、陰気なの?


………どうして?


僕、よく、口数が少ないって言われる。


じゃ、僕も、陰気?」






セカイは邪気なくそう訊ねた。