足を踏み入れると、タツノが見初めた少女が床に転がっていた。
唇をきつく噛み締め、胸を強く抑えている。
タツノはかつかつと歩み寄り、傍らに静かに座り込んだ。
「………どうした。苦しいか」
チキュはゆっくりと瞼を上げ、タツノを見た。
渇いた唇を薄く開け、何度か動かす。
「息、くるし………。
………胸が、いたいーーー」
掠れきった痛々しい声だった。
タツノが前髪を払ってやると、その額には真珠のような汗の玉がびっしりと浮かんでいた。
蒼白な顔に伝う脂汗を、袖口でそっと拭ってやる。
うっすらと見開かれた深い漆黒の瞳には、何も映っていないようだ。
空虚な双眸を縁取る濃い睫毛に、透明の涙が滲んでいた。
唇をきつく噛み締め、胸を強く抑えている。
タツノはかつかつと歩み寄り、傍らに静かに座り込んだ。
「………どうした。苦しいか」
チキュはゆっくりと瞼を上げ、タツノを見た。
渇いた唇を薄く開け、何度か動かす。
「息、くるし………。
………胸が、いたいーーー」
掠れきった痛々しい声だった。
タツノが前髪を払ってやると、その額には真珠のような汗の玉がびっしりと浮かんでいた。
蒼白な顔に伝う脂汗を、袖口でそっと拭ってやる。
うっすらと見開かれた深い漆黒の瞳には、何も映っていないようだ。
空虚な双眸を縁取る濃い睫毛に、透明の涙が滲んでいた。



