天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「そんな………」




ヘレンは泣きそうな声で言う。




「………かわいそうよ。

あんなにひどい怪我なのよ?


動くのだって一人じゃ無理なのに、移動なんて、できるわけないじゃない………」




「だから、俺が家族の所まで連れて行ってやるって言ってるだろ?

馬車でも借りてきて、荷台に乗せていけば寝たまま移動できるだろう」





父親のどこか冷たい響きの言葉に、ヘレンはとうとう怒りを露わにした。




「………お父さんもお母さんも、ひどい!

ひどすぎるわ!!


あんなに重傷の怪我人に対して、そんな言葉を吐くなんて………!!

こんなに冷たい人たちだと思わなかった!


とにかく………誰が何と言おうと、あたしは最後まで世話してあげるって決めたの!!」





そう叫んで、ヘレンは調理台を強く叩き、台所を出て行った。




残された父と母は、思わず顔を見合わせる。




「どうしちゃったんだい、ヘレンは………」




「………あぁ。

今まで、親に反抗したことなんて、一度もなかったのに………」