天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「母さんが家事に追われてる間、長女のあんたが手伝いもせずに、色恋に現を抜かしてるなんてねぇ………」




「………色恋だなんて」




ヘレンは文句を言おうとしたが、母親はヘレンを冷たく一瞥し、すぐに手許へと視線を戻した。




こういう時、どうすればいいのか、ヘレンにはいつも分からない。




妹たちのようにあっけらかんと謝ることも、弟たちのように不満を言い返すことも、ヘレンは上手く出来ないのだ。





「どうせまた、あの男の子の所に行ってたんだろ?

あんな死にかけみたいな怪我人の世話して、どうするつもりなんだ?」




母親が野菜を洗いながらそんなことを言うので、ヘレンはぱっと顔を上げた。





「………やめてよ、お母さん!

死にかけなんかじゃないわよ。


今日、ちゃんと目が覚めたのよ。

話だって出来たんだから!」





ヘレンが珍しく声を荒げて、強い声音で言ったので、母親は驚いたように再び振り返った。