天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether









小屋の戸を後ろ手に閉め、ヘレンは歩き始める。




いつの間にか、日が暮れかけていた。



夜の気配を含んだ、すこし冷たい風が吹き抜けていく。




間断なく波の打ち寄せる浜辺で、あかあかと火を焚いて暖を取る海女たちを横目に見ながら、ヘレンは急ぎ足で家へ向かった。





潮風に晒されて傷んだ板戸を押し開ける。



顔を覗かせた瞬間、一番目と二番目の弟二人が駆け寄ってきた。





「ねーちゃーんっ!!

どこ行ってたんだよ!?」



「今日は一緒に裏山に虫捕りに行く約束だったじゃないかっ!!」



「そーだよっ!!

オレたちずっとねーちゃんが帰ってくるの待ってたんだぞ!!」



「こんな時間になっちゃったら、もう外に出れないじゃないか!!」





弟たちは、ヘレンの周りを纏わりつくように駆け回り、口々に文句を言った。





(………あぁ、そうだったわ。


この子たちと約束してたんだった。

すっかり忘れてた………)





さすがに申し訳なくなり、ヘレンは「ごめんごめん」と謝った。