天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

薬膏を塗り終え、ヘレンは新しい包帯を手に取った。



それをセカイの胴に巻こうと、両手で広げた時。





「ーーーあ、髪が……」




上半身を起こしたセカイの長い髪が、ふわりと背中に拡がっているのを見て、ヘレンはそう呟いた。




セカイも視線を移して、自分の肩や胸にも垂れかかっている髪を見つめる。





「………あ、そうか。

包帯を巻くとき、髪が邪魔なんだね」




「う、うん………。

今までは床に横になってたから、邪魔にならない所に流してたんだけど………」




セカイはちらりとヘレンを見て、言う。





「ごめん、僕、自分では、髪、結べないんだ………。


悪いけど、ヘレン、結んでくれない?」





ヘレンは小刻みに頷いた。




「ええ、あたしでよければ………」




遠慮がちに言う声を聞いて、セカイはくすりと笑った。




「あたしでよければ、って。

ここには僕とヘレンしかいないじゃない。


君が結んでくれなかったら、僕、困っちゃうよ」




「あ、そ、そうね………。

じゃあ、結ぶわね」