天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ヘレンは手を止めた。



そして、セカイの深い紫の瞳を、吸い込まれるように見つめる。





(………今の言葉は、本当にあたしのことを言ったのかしら?


信じられないわ………。


お母さんたちと正反対のことを、言ってるもの………)




ヘレンはなんだか、自分がどんな人間なのか、わからなくなってしまった。




セカイと向かい合っている時の自分は、家族の中で萎縮して背中を丸めて小さくなっている自分とは、全く別の人なのではないか。



そんなことを考えてしまう。




「……ええと、新しい包帯を、巻くわよ」



「うん」




セカイは、包帯を巻きやすいようにと軽く腕を広げた。




セカイの胴部の傷は、縫い目の隙間からじわり、じわりと血が滲み出している。



ヘレンは小さな布を水に浸し、その血を拭き取った。




そして、医者から貰っていた薬膏を指の腹で塗り込んでいく。





傷口に触れるので、さすがに痛むのだろうか、セカイは微かに喉を鳴らした。