天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

海の湿気を含んだ温い風が、じっとりとヘレンの周りを吹き抜ける。



肌がじわりと汗ばんだ。




陽射しは強く、頭頂部に触れてみると、ひどく熱くなっていた。





季節はもう、初夏だ。




南の海の、うだるように暑い夏が、間近に迫っている。







じりじりと肌を突き刺すように凶暴な盛夏の陽光と、息の詰まりそうな暑く重い空気を、ヘレンの皮膚が思い出す。






先ほどまでの高揚した気持ちが嘘のように、ヘレンの心は不満と不快で憂鬱になっていた。







溜息を吐き、重い足取りで、村の裏山に向かう。



ハンナに教えてもらった薬草を採るためだ。