天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

その赤茶けた染みが目に入った瞬間。





ーーー心臓が力いっぱいに爪を立てて握り締められたような、言葉にならない苦痛を感じた。






「…………っう……!」





息を呑んで呻き声を上げ、胸元をぎゅっと掴みながら倒れ込む。




その拍子に、近くに立っていた燭台が倒れ、凄まじい音が響いた。







チキュは顔中を苦し気に歪ませ、倒れたまま手足をばたつかせる。




「ーーーあぁ、あ………」





深く速い呼吸をしながら、目を見開いて天井を仰ぐ。





朦朧と霞がかかったようだった意識が徐々にはっきりとし始め、チキュは思い出してしまった。









ーーーあの服についた血が、誰のものなのか。





その人間が、どうなったのか。