天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

ぎし、ぎし、と床が軋む音が聞こえてくる。



そして、木戸の隙間から、皺が深く刻まれたハンナの顔がゆっくりと現れた。





「なんだい、ヘレンかい。

珍しいね。


どうしたんだい? 急に………」





嗄れた声で問いかけられ、ヘレンは緊張しながら口を開く。





「あの、ハンナ婆さんに訊きたいことがあって………」





ハンナの目が細められる。




「ほう、なんだい、訊きたいことって。


私が知っていることなら、教えてやってもいいが………。


まぁ、入りな」





ヘレンはほっとして、乾いた唇を湿らせながら、ハンナに促されて家の奥へと足を踏み入れた。





家の中には、誰もいなかった。



しんとした空気の中に、二人のゆっくりとした足音だけが響く。





ハンナは長男夫婦と次男夫婦の家族と共に住んでいるはずだが、みんな仕事に出ているのだろう、とヘレンは思う。