天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

「とにかく、目が覚めたからには、何か食べさせてやらないとな…」




パトロがそう言うと、ヘレンはこくこくと大きく頷いた。




「そうね。どんな物がいいかしら」




「うーん、食べやすい物じゃないと、喉を通らないかもしれないな。

うちにある物だと、ちょっと大変だろうなぁ……」




パトロが眉を顰めて口角を下げた。




「あたし、何か探してくるわ!」




ヘレンはパトロにそう言うと、すぐに立ち上がって玄関へと駆け出して行った。





それを見送りながら、パトロは笑いが堪えきれなかった。





(………ヘレンの奴、ずいぶんあの子を気に入ったみたいだな。


必死になっちゃって、健気だなぁ)





自分の容姿に対する劣等感のせいか、いつも気弱で自分の意志を表に出してこなかった妹。



それが、あの少年に関してだけは周りの言う事も聞かずに妙に我を通し、溌剌としている。





そのことにパトロは少し複雑な思いを抱きながらも、やはり妹が外向的になっていくのは喜ばしいのだった。