天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether

それでも息苦しさは良くならず、チキュは胸に手を当てながら起き上がった。



頭がずきずきと痛み、身体を動かすのが億劫だった。




ぼんやりと周りを見渡す。





天蓋の絹布の向こうに、真っ白な壁と、真っ白な調度品が見えた。




その調度品の文机の上に、何かが載っているのが分かり、チキュはゆっくりと寝台から降りた。







素足をひたひたと大理石の床に滑らせながら、文机に近づく。





そこにあったのは、チキュが地国で着ていた衣服だった。



きれいに洗われ、きちんと畳まれている。






ぼんやりとしたままチキュは上着を取って広げてみた。





そこには、洗っても取れなかった血液の染みがうっすらと残っていた。