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「兄さん! 兄さん!」
家に着いて、真っ先に兄のパトロの所へ向かう。
今日は地曳き漁で使う網の補修をするため、パトロは漁に出ずに残っていた。
「あの子、目が覚めたのよ!!」
明るく大きな声が耳に届いて、パトロは網の破れ目を繕う手を止め、振り返った。
「ヘレン、お帰り」
「ただいまっ!」
普段は内気な妹が小走りに駆けてきて、満面に笑みを浮かべているのを見て、パトロは内心驚いていた。
ヘレンはにこにこ微笑みながら言う。
「やっとあの子が起きたの!
お話もしたわ!!」
「そうか、よかったじゃないか。
お前が頑張って看病したからだぞ。
よくがんばったな」
兄から褒められて、ヘレンは照れ臭そうに顔を俯けた。
「………うん。
兄さんも色々助けてくれて、ありがとう」
パトロは、家族の中で唯一、ヘレンがセカイの世話をすることに協力的な存在だった。
包帯に使う布を貰って来てくれたり。
包帯を替える時に、「一人じゃ大変だろ?」と手助けしてくれたり。
ヘレンに手伝いを言いつけようとする母親を説得してくれたり。



