天と地の叙事詩Ⅱ Epic of the Ether









「兄さん! 兄さん!」




家に着いて、真っ先に兄のパトロの所へ向かう。





今日は地曳き漁で使う網の補修をするため、パトロは漁に出ずに残っていた。




「あの子、目が覚めたのよ!!」




明るく大きな声が耳に届いて、パトロは網の破れ目を繕う手を止め、振り返った。




「ヘレン、お帰り」



「ただいまっ!」




普段は内気な妹が小走りに駆けてきて、満面に笑みを浮かべているのを見て、パトロは内心驚いていた。



ヘレンはにこにこ微笑みながら言う。




「やっとあの子が起きたの!

お話もしたわ!!」




「そうか、よかったじゃないか。

お前が頑張って看病したからだぞ。

よくがんばったな」





兄から褒められて、ヘレンは照れ臭そうに顔を俯けた。




「………うん。

兄さんも色々助けてくれて、ありがとう」




パトロは、家族の中で唯一、ヘレンがセカイの世話をすることに協力的な存在だった。




包帯に使う布を貰って来てくれたり。


包帯を替える時に、「一人じゃ大変だろ?」と手助けしてくれたり。


ヘレンに手伝いを言いつけようとする母親を説得してくれたり。